最近、デジタルカメラで撮った写真をプリントすると、思った通りの明るさにならないという問題と相談に、続けざまにあった。
- 聴覚障害者団体のバスツアーの記念写真が、暗くて顔がよく見えないものになった。
- 自分の PC で写真を印刷したが画面とでは明るさがずいぶん違う、と相談を受けた。
すぐに原因の見当はついたのだが、口頭や手話では説明が難しく、そのままになっている。その原因を説明するために、これを書いている次第だ。
質の低いディスプレイを使うと、この問題が出る
説明のためのサンプル画像だ。自分が撮った写真で、京都・仁和寺にある不動明王堂。水かけ不動だ。堂の中が見えにくいよう、あえて暗めに調整してある。
これを、自分の使っているカラーマネジメントディスプレイと ノート PC に出してみた。
ハッキリと見え方が違うのがわかると思う。上の方が自分のいつも使っているカラーマネジメントディスプレイでの表示で、堂の中が暗くて見えにくい。下の方は堂の中がクッキリと見えている。
安物のディスプレイを使うと、本当は暗くて見えにくい部分が明るく見えてしまう。本当は、堂が暗い表示になっているカラーマネジメントディスプレイの方が正しい表示なのだ。安物のディスプレイを使っていると、写真の明るさを実際以上に明るく感じてしまい、写真用紙に印刷して初めて暗すぎると気づく。
なぜこんな現象が出るのかというと……
カラーマネジメントディスプレイとノート PC の画面を暗室で比較したもの。
両方とも、壁紙を純黒に設定してある。左側にアイコン、画面中央にマウスポインタがあるのでディスプレイ画面だとわかるはず。カラーマネジメントディスプレイだと光がほとんど無いのに対して、ノート PC は画面が白く光っている。黒に設定しても、光が漏れているのだ。
ノート PC のこの光漏れが、写真が実際より明るく見えてしまう原因なのだ。
解決法は簡単ではない
上記から導かれる解決法は、「光漏れの無い良質なディスプレイを使う」ことになる。が、実はこれが意外に難しい。
この問題の根本的な解決法は、「カラーマネジメントシステムを採用する」ものなのだが、これ、金も時間も根気も必要なのだ。まず、カラーマネジメントシステムをきちんと勉強する必要がある。素人にはかなり敷居が高い。
加えて、カラーマネジメントシステムに対応しているディスプレイは価格が高めになる。これでも近年は大分安くなっており、6~8万円のものが出ている。以前は平気で十万円超えだった。例として出した自分のカラーマネジメントディスプレイは、実はものすごいハイエンド機で、かなり高価なのだ。
しかも、買えば終わりではなく、定期的にカラーキャリブレーションをして色調をしっかり管理する必要がある。
なので、この方法は素人にはお勧めしにくい。
ここではとりあえず、sRGB モードが用意されているカラーディスプレイを勧めておく。sRGB は色域を示す言葉で、PC ではこれが標準になる。sRBG モードに設定すれば、写真がほぼ正しい色になる事が期待できる。
探せば、2~3万円で買えると思う。