2010年11月に、Yahoo! Japan の検索エンジンがそれまでの YST から Goolge に切り替わった。
これについて、自分の気づいたことがあるので、覚え書きとして記す。
僕自身はその一ヶ月くらい前から、Yahoo! Japan の検索結果が Google のそれに変わりつつあることをつかんでいた。記録を確認したところ、最初に気づいたのは 10/16、WiMAX 経由で Yahoo! Japan にアクセスした結果だった。これは WiMAX 専用に割り当てられたサーバが存在することを示す。
Yahoo! Japan の検索結果は、いっせーので一気に変わったわけではない。ある条件限定で少しずつ少しずつ変わっていたのだ。僕の観察では、次のように変わっている。
- Yahoo! Japan 検索エンジンを使用していた中規模のポータルサイトの検索結果が変わる。
たとえば、ODN の検索 とか WiMAX、E-Mobile のポータルサイト単位で Google と同じになった。 - ブラウザの種類によって検索結果が変わる。
MS Internet Explorer で閲覧すると変化がないのに、Firefox では Google と同じになった。 - 利用しているプロバイダによって結果が変わる。
東京電力(tgn.or.jp 以前は東電系列の会社に勤めていた)とか so-net とか ocn とかで、検索結果が変わる。同じ時期に変わったのではない。
「サーバ単位で Google に移行したんだろう」
そうその通り、僕もそう思う。だが、なんでプロバイダ単位、ブラウザの種類単位で変わるんだ、そこがおかしくないか。
以前は Yahoo! Japan はユーザによって検索結果を変えていた
以前は、プロバイダやブラウザ、アクセスする地域によって検索結果が違っていたのだ。こうした現象は、Google には無い。
たとえば、東京都世田谷区の自宅から Yahoo! Japan で検索した結果と、東京都町田市のネットカフェで検索した結果が違う事を確認してある。
実は町田市の電話局は隣の県、神奈川県相模原市にある。検索サーバ側から見れば、神奈川県相模原市からのアクセスと東京都町田市からのアクセスは区別できない。つまり、地域別に検索結果を変えていたのだ。おそらく、検索エンジンのロードバランサ(負荷分散装置)で IP アドレスなどをチェックして、地域別サーバに振り分けていたのだろう。
これはほんの一例で、他にも条件により検索結果が変わることをつかんでいる。
これが、ある時期を境にして違いが見つからなくなった。
調べてみたら、Google 八分対策センター (サイト消失)が「グーグル八分発見システム」をリリースしたのと同じ時期だと判明した。
グーグル八分発見システムというのは、多くの協力者の PC にインストールして、検索エンジンの検索結果をチェックし、センターに集約する仕組みになっている。
表向きは、これでグーグル八分を見つける、という名目になっていた。しかし実は、検索エンジンの検索結果に対する不自然な操作を見つける仕組みになっていた。
Yahoo! Japan はこれを知って「ヤバイ!」と判断したのだろう。検索結果の操作がピタリと止んだ。イヤ、厳密には止めていない。検索結果の操作はまだ続いているのだが、地域別・プロバイダ別・ブラウザ別に検索結果を変える操作を止めた。グーグル八分発見システムに見つけられるような操作を止めたのだ。
Yahoo! Japan の Google への移行の仕方は、かつてのサーバ振り分けシステムがそのまま残っていることを示している。以前に気づいた、検索エンジンの検索結果に対する操作をおこなうシステムが、こういう形で再検証できたことに感心している次第だ。
Yahoo! Japan 自身がクライアントのリクエストに応じて、一部の者にとって都合が良いように検索結果を操作していたのだった。
地域によって検索結果を変えていることについては、最初は地域に合わせて検索結果を変えることを考えていたのだと思う。雪の多い地方なら積雪情報は 切実な生活情報だろうし、夏の暑い地域なら防暑対策情報は有益であろう。こうした地域の事情に合った情報を提供するのは意味がある。それだったら、まっと うな使い方だったのだが。
利用者側では、検索結果は全国一律に同じだと思い込んでいる。そこでこっそりと、地域別に検索結果を変えていたらどうだろうか。
SEO 業者に依頼した北海道在住のクライアントが、検索してみて「わーい、上位にあがった」と思ってたら、実は北海道限定であったりする。九州ではまた別のクライアントが依頼して、九州限定の検索結果を見て喜ぶ……
日本国内のパイを、地域別のパイにわけて、SEO 業者はそれぞれから報酬を受けることができるのだ。こうすることによって、報酬を何倍にも増やせる。悪質ではないか。
少なくとも、地域の事情に合わせた情報提供はされてなかった。
この今回の Google 移行で、Yahoo! Japan 内部の仕組みではロードバランサのシステムがまだ残ってることが判明した。現在はあまり使われてないようだが、今でもやろうと思えば検索結果を操作することができる状態だとみて良さそうだ。